「大人になる学校」で心に刻んでほしい三つの文字
校長 渡辺 康弘
小学校と中学校はどこが違うのでしょうか。
中学校というところは、大人になる学校なのです。小学校は子どもの学校、中学校は、今は子どもですけれど、大人になる学校なのです。何か違いがあるのでなかったら、小学校を卒業して、中学校に入学し直さなくても、小学校に九年間いればよいわけです。中学校は大人になる学校、従って大人になっておかしなことは、全部やめてもらうところです。三年間のうちに一人前の大人としておかしくないことを身につけるのです。
自分でできる事は、できるだけ他の人の手助けを受けないでできるようにすることです。また、社会では通用しないマナーやルール違反は学校でも通用しないということを学んでいくことも大切なことです。
みなさんに三つの文字を贈ります。是非心に刻んで下さい。
一つ目は「夢」です。大玉村と大玉中学校の教育スローガンの両方にこの「夢」という漢字が使われています。村のスローガンは「夢を育てる教育~おおたまに学び、世界とつながる人間の育成~」。大玉中のスローガンは「将来に夢を抱き、実現に向けてひたむきに努力する生徒」。まずは自分の夢を明確にし、その実現に向かって悔いのない3年間を過ごしてください。
二つ目は鍛錬の「鍛」、鍛えるという文字です。中学校では、「教えてもらう」から「自ら学ぶ」へと変わらなければなりません。授業でも家庭学習でも部活動でも、与えられるのを待っていては、前に進むことはできません。難しくても、つらくても、やるべき事をやらねばなりません。自分を甘やかさず、常に厳しく、継続することが「鍛える」ということです。やる気がでないときや調子が悪いときでも、毎日同じ事を「必ずやる」。それが自分を鍛え成長させます。
三つ目は「美」、美しいという文字です。「日本で最も美しい村」大玉村の中学生として、校内・村内の美化作業・清掃活動など目に見える美しさのために汗を流すことはもちろん、目には見えない美しさ、丁寧な言葉遣いや友だちに対する思いやり、明るく心のこもった挨拶など、「こころの美しさ」を磨いてください。
11月26日,大玉村学校支援地域本部の仲立ちで,玉井在住の鈴木英雄さんが来校され,家庭科の調理実習などで使用するステンレス包丁20本を研いでいただきました。
3年前からボランティアとして村の構造改善センターや保健センター,総合福祉センターさくら,フレンドリー大玉の厨房で使用している包丁の手入れもなさってきたそうです。ここ何年間も研がれることなく使われてきた本校の包丁は,刃先が丸まってしまったものや刃こぼれのあるもの,さらには刃が波打っているものなど,切れ味を取り戻すには容易ではない包丁がたくさんありました。
このような包丁を,鈴木さんは四種類の砥石を使い分け一本一本時間をかけて,丁寧に磨いてくれました。昼食をはさんで約6時間,丸一日がかりで20本の包丁は,どれもが,手に持った一枚の紙を力を入れずに裁断できるまで切れ味を取り戻しました。今後の調理実習ではより手際のよい作業ができそうです。鈴木さん,ありがとうございました。

大玉村海外交流事業「友好の翼」報告会が,26日夜,保健センターで開催されました。
教育長さん,村長さんの挨拶の後,来賓の遠藤村議会議長さん,鈴木国内外交流推進会副会長さんから祝辞を頂戴しました。その後,いよいよ報告会のメインである「団員報告」の時間になりました。生徒全員が役割分担をして,旅行行程に沿って,楽しかった研修の様子を,時にはユーモアをまじえながら説明しました。投影される写真を見ながら,私を含めた,参加者にとっては「夏の思い出」を振り返る時間にもなりました。
最後に,私から以下の話をさせていただきました。
この研修の詳細につきましては,二学期のはじめ,学校だよりに「友好の翼」旅行記と題して6回に分けて連載させていただきました。その理由は当初の申し込みが予想よりも少なかったことが挙げられます。この研修旅行の充実した内容を今の1年生とその保護者に知らせ,次年度は定数を上回る申し込みがあることを願ってのことでした。ある一年生の担任からは「どうしたら台湾に行けるのですか?」と旅行記を目にした生徒から質問があったと聞き,少しは手応えがあったのかなと感じています。今回の研修で,参加した生徒がいかにたくさんのことを学ぶことができたかについては,今日の発表と「報告書」の作文から十分に伺い知ることができます。では,生徒たちが一番印象に残ったものは何かと思い,すべての生徒の作文に目を通し,記載されている訪問先や印象に残った出来事の統計を取りました。第3位は6名の作文で紹介された「十分」です。天燈と呼ばれる大きな風船(というよりは小型の気球)に墨で願い事をしるし,大空へ飛ばした体験が印象的だったようです。第2位は9名で「九份」。映画「千と千尋の神隠し」の世界観たっぷりのたくさんのお店が連なる路地を自由に散策し,ショッピングを楽しみました。では,第1位は何だったでしょうか?村長さん,教育長さん,「安心して下さい。彼らはちゃんと目的を果たしましたよ。」第1位は10名が作文の中で触れている「大竹中学での交流会」でした。
私は大玉村教育委員会のスローガンが大好きです。そのスローガンとは「夢を育てる教育~おおたまに学び,世界とつながる人間の育成~」。このスローガンを具体的に実現しているのが今回の「友好の翼」ではないでしょうか。「百聞は一見にしかず」。台湾到着直後に感じた熱帯特有の湿気を含んだ生暖かい空気。至近距離で目にした台湾の至宝「翠玉白菜」の鮮やかな色彩。九份や士林夜市で鼻についた飲食店の独特の臭い。名物マンゴーかき氷の口の中で消えていく氷の何ともいわれぬ食感。そして優しい台湾の生徒達との交流…生徒達はまさに五感で世界とつながりました。これからも多くの大玉中生に同様の体験をさせたいものだと思います。ここで,生徒の皆さんにお願いがあります。今回取得したパスポートは5年間の有効期限があります。高校を卒業してから少しの間ですが使うことができます。それまでの期間にぜひ,もう一度今回のパスポートを利用して,できれば自分で貯めたお金で海外へ出かける目標を持って下さい。十代にもう一度「世界とつながる」経験ができれば素敵な事だと思います。
最後になりましたが,生徒のみならず私たち引率の教師にまで貴重な研修の機会を与えて下さった,村長さん,教育長さん,神野藤さんをはじめとする大玉村当局の皆様方に改めて御礼を申し上ます。ありがとうございました。

友好の翼」生徒が印象に残ったことベスト8
○ 第1位:大竹中学校との交流(10名)…対面前の緊張感,そして台湾の中学生の優しさに触れる
○ 第2位:九份(9名):「千と千尋の神隠し」の世界でショッピングを楽しむ
○ 第3位:十分(6名):願い事を書いた天燈(大きな紙風船)飛ばし体験に感動する
○ 第4位:士林夜市(5名):夜店が連なる歓楽街でショッピングとマンゴープリンを満喫する
○ 第5位:台湾の料理(4名):創造していたよりも食べやすく,高級食材も口にする。
○ 第5位:故宮博物院(4名):行列をつくる台湾の至宝,「翠玉白菜」は特に印象に残った様子
○ 第7位:飛行機内(3名):荒天で到着が遅れたが,機内ではゲームを楽しむ
○ 第8位:台北101(2名):超高層ビルの展望台から台北の夜景に感動する
○ 第8位:龍山寺(2名):同じ仏教の寺院でも,お参りの仕方など日本との風習の違いを実感する
各新聞紙上で恒例となっている「今年の10大ニュース」やユーキャン「新語・流行語大賞」など,日本には,その年の世相を振り返る恒例行事があります。その中の一つに日本漢字能力検定協会の「今年の漢字」があります。「今年の漢字」は,1995年から漢字の持つ素晴らしさや奥深い意義を伝えるための啓発活動の一環として始まりました。毎年年末に一年の世相を表す漢字一字を全国から募集しています。そして、最も応募数の多い漢字を12月12日(いい字一字)の「漢字の日」にちなんで、京都・清水寺で発表しています。今年は20周年を迎えます。
私も,毎年この時期,自分自身と自分が勤務する学校の「今年の漢字」を考えています。
私自身の今年の漢字は「帰」としました。私は,ここに来る前の3年間は,会津の小学校に,その前3年間は福島市の教育委員会に勤務していました。この一文字には,7年ぶりに中学校の現場で働くことのできた喜びも込められています。
私が選んだ大玉中の今年の漢字は「誇」です。創立40周年を経た本校の確かな足跡と先人の努力,そして生徒が歌う校歌のすばらしさに本校で勤務することのできる気持ちも込めて決めました。
さて,皆さん自身の,そして家族の「今年の漢字」は何を選びますか?今年一年の自分自身の足跡を振り返る上で,親子で考えてみてはいかがでしょうか。
過去5年間の「今年の漢字」一覧
○2014年「税」:消費税率が17年ぶりに引き上げ
○2013年「輪」:2020年東京オリンピック・パラリンピック開催決定
○2012年「金」:ロンドンオリンピックの活躍,スカイツリー開業等
○2011年「絆」:東日本大震災,W杯なでしこ優勝
○2010年「暑」:記録的な夏の「猛暑」,チリ鉱山事故
二学期,私は大玉中学校教職員の今年度のスローガンに,「学び続ける教師がいる学校」をあげ,全教職員で指導力向上のための研修に取り組んできました。具体的にはすべての教員が,自分の専門教科あるいは道徳で,「人権教育」に配慮した研究授業を実施し,多くの先生方に助言をいただくことで授業スキルの向上を図っています。
19日は,理科を担当する3名の先生が研究授業に挑みました。2年2組では山内先生が磁界の中で電流が受ける影響について実験を通して検証する授業を,1年3組では藤倉先
生がさまざまな光の屈折を観察する授業を,3年1組では佐藤貴弘先生が物体の速さの違いによる運動エネルギーの変化を実験データをもとに考察する授業を行いました。いずれの
授業でも,生徒が取り組みやすい,興味をそそる実験器具が準備されていました。さらに,すべての生徒が実験に参加することができる働きかけや,一人ひとりの気付きや考えを交流させる時間を確保するなど「人権教育」に配慮した工夫も取り入れていました。
来週25日(水)は,大山小学校を会場に「おおたま学園」として2年間におよぶ「人権教育」の集大成となる公開研究会が開催されます。村内はもとより,県内外からも多くの参観者が予定されています。本校からは八巻恵奈先生が1年3組の道徳,渡邉博樹先生が2年1組の数学,八巻可菜子先生が3年2組の美術の授業を公開します。会場へはバスで移動し,大山小学校の教室を借りての授業となります。それぞれの学級の皆さんには,大玉中学校の代表として,多くの参観者を前に萎縮することなく,活発な授業となるよう期待しています。

11月14日,県内の地区予選を勝ち抜いた男女各24チームが参加して,いわき市の市総合体育館で開催されました。県北地区の代表として参加した本校の女子団体チームは,決勝トーナメント進出を目指し予選リーグに挑みました。結果は1勝1敗でブロック2位となり残念ながら決勝トーナメント進出は果たせませんでしたが,県大会で勝利を得たことは,今後の大会に向けての大きな自信となりました。
〈予選Hブロック〉対四倉中 3-0 勝
対蓬田中 1-3 負
